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二十四節気について

啓蟄とは何か 太陽黄経345度が示す虫の目覚め

2025/01/12

暦の上では立春や雨水を経て、少しずつ寒さが緩んでくる頃。

そんな二十四節気の流れの中で「啓蟄(けいちつ)」は、冬ごもりをしていた虫たちが地中から目覚めて外に出てくる節気とされています。

長い冬を終えた自然界の生き物が動き始める合図ともいえるこのタイミングには、私たちの暮らしにも春らしい気配がいっそう強まるはずです。

ここでは啓蟄の語源や太陽黄経との関わり、気候の変化や七十二候、関連する行事や食べ物、暮らしの知恵などを詳しくご紹介します。

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啓蟄とは何か

 

二十四節気は、太陽が一年をかけて通る道(黄道)を三百六十度に分割し、その十五度ごとに名前を付けたものです。

啓蟄は太陽黄経が三百四十五度に達した瞬間を指し、立春(三百十五度)から数えて三十度ほど進んだところに位置します。

多くの場合、三月六日頃に当たることが多く、「冬ごもりの虫が動き出す」という意味を持ちます。

「蟄」は「虫が土中にこもる」ことを指し、「啓」は「開く」「こもっていたところから出る」ことを表しています。

文字通り、「土の中に閉じこもっていた虫が開放される瞬間」が啓蟄なのです。

まだ気温は完全に安定しない時期ですが、朝晩の冷え込みが緩み、昼間の陽射しが少しずつ力強くなっていく合図として捉えると、冬から春への変化をより鮮明に感じられるでしょう。

 

太陽黄経との関わり

 

啓蟄は太陽黄経三百四十五度という天文上の定義によって決まります。

二十四節気は立春を始点とし、そこから十五度刻みで雨水(黄経三百三十度)、啓蟄(黄経三百四十五度)、春分(黄経〇度)と続いていきます。

つまり、立春や雨水よりもさらに春が深まっている段階というわけです。

天文学的には、地球が公転の過程で太陽との角度を少しずつ変え、日射量や日照時間のわずかな変化を暦に落とし込んでいる形になります。

啓蟄を迎える頃は、昼間の長さが少しずつ伸び始め、太陽高度も上がるため、寒さがゆるみやすくなるタイミングといえます。

とはいえ、三月上旬は地域によってまだ雪が残ったり、冷たい風が吹いたりと、春本番まではあと一歩という印象でしょう。

それでも暦の上では「虫も動き出すころ」ということで、植物や動物の動きに注目すると、小さな春のサインを発見できるかもしれません。

 

気候の変化と暮らしの知恵

 

啓蟄の頃になると、前の節気である雨水の段階からさらに暖かさが増し、積雪のある地方でも融雪が進むことが多いです。

地表近くの氷が解け出し、昆虫や小動物が少しずつ活動を再開する姿を見かけると、「ああ、本当に春が来たんだな」と思う方も多いでしょう。

それでも大気はまだ不安定で、暖かい日が続いたかと思えば急に冷え込むこともあります。

こうした寒暖差に注意しながら、上手に衣類の調整をして風邪などを予防する暮らしの工夫が大切になります。

農作物に目を向けると、啓蟄の頃は畑や田んぼの土が解凍され始め、種まきや育苗の準備を進めやすいタイミング。

地域によってはまだ雪が残っていて実際の作業にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、暦を意識して用具の点検や畑の土作りをする人も多いようです。

また、菜の花やフキノトウ、タラの芽など春の山菜が顔を出し始めるところも増え、食卓にほんのりと春の香りが届き始めます。

七十二候との関係

 

啓蟄に含まれる七十二候は、二十四節気をさらに三つに分割したもので、各候が自然界の動きや季節の移ろいを象徴しています。

おおむね以下の三つの候が啓蟄に対応します。

1.桃始笑(もも はじめて さく)
桃の花が咲き始めるころ。
「笑」という字が使われるのは、花がほほ笑むように開くイメージからきています。
梅が終わり、桜が近づく前に、可憐な桃の花を見かけると春の彩りを感じるでしょう。

2.菜虫化蝶(なむし ちょうと かす)
菜の虫(アブラナ科の花を食べる虫)が蝶になるという意味。
これは冬の間にさなぎだった虫が羽化して蝶になる情景を指します。
一気に春めく光景で、花と蝶のコラボを楽しむ人も少なくありません。

3.雀始巣(すずめ はじめて すくう)
スズメが巣作りを始める時期。
鳥たちも暖かさを感じて活動を活発化させるということですね。
窓の外でチュンチュンと賑やかに鳴き声を聴けるころかもしれません。

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関連する行事や食べ物暮らしの知恵など

 

啓蟄の直前にはひな祭り(三月三日)があり、次の節気である春分(三月二十日前後)までがいわゆる「春の入口」です。

啓蟄そのものに大きな行事は少ないものの、桃の節句に絡めた桃の花を飾ったり、菜の花を食材に取り入れたりと、暮らしを春仕様に切り替えるには良いタイミングです。

山菜採りやガーデニングの準備を始める方も増えるでしょう。

ふきのとうやタラの芽などを天ぷらにして食べると、苦みと香りが一気に春を実感させてくれます。

また、虫が出てくる時期なので、苦手な方は防虫対策を早めに行うのも一つの知恵です。

暖かい日が続くと、一気に虫の活動が活発になる場合があるため、家周りの清掃や点検をしておくと安心でしょう。

 

前の節気はこちら:
雨水

次の節気はこちら:
春分

春の総論はこちら:
春の二十四節気総論

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まとめ

 

啓蟄は、立春や雨水に続く春の節気で、虫が地中から目覚める象徴的な段階です。

太陽黄経三百四十五度という天文学的な区切りで決まっており、三月六日前後に当たるのが一般的。

まだ気温は不安定ながら、自然界は確実に春への準備を始め、七十二候「桃始笑」「菜虫化蝶」「雀始巣」がその変化を映し出します。

ひな祭りが過ぎ、そろそろ桜の開花予想が話題に上る頃合いで、菜の花や山菜など春の味覚も増えてくるでしょう。

暮らしの中では、ガーデニングや畑の土作りを開始したり、衣替えの計画を立てたりと、身近なところで春を迎える準備を進めるのにうってつけの時期といえます。

節気を意識して毎日を過ごすと、わずかな気温や草花の変化にも敏感になり、季節の楽しみがぐんと広がるはず。

ぜひ啓蟄のタイミングを逃さず、春の訪れをリアルに体感してみてください。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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