雨水とは何か 太陽黄経330度が示す雪解けのはじまり
2025/01/10
暦の上では立春を迎えて間もない頃ですが、まだ寒さが厳しく、実感としては冬の名残が強い時期。
そんなタイミングで訪れる二十四節気の一つが「雨水」です。
ここでは、雨水がどのような意味を持ち、どのような気候変化や七十二候、行事や暮らしの知恵とつながっているのかをじっくり解説します。
春の始まりを感じるためのヒントを、たっぷりとお届けします。
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雨水とは何か
二十四節気は、太陽が一年をかけて通る黄道を三百六十度で区切り、十五度ごとに名前をつけたものです。
雨水は、その中で太陽黄経が三百三十度に達した瞬間に該当します。
多くの場合、二月十九日頃に当たることが多い節気で、「雪が雨に変わり、氷が解け始めるころ」という意味を持っています。
立春が太陽黄経三百十五度で暦上の春が始まる節気とされるのに続き、雨水はさらに春への足音を大きく感じられる段階といえます。
冬の厳しい寒さがやや緩み、地面の凍結が解け出すとともに、川や池の氷が薄くなり始めるイメージが広がります。
人々はこの時期になると、「少しだけ春が近づいてきた」と感じることが多いでしょう。
暦の歴史を紐解いてみると、雨水は立春に次ぐ「春を育む節気」であり、水が鍵を握っています。
雪が雨に変わり、万物の生長を助ける水へと姿を変えていくという考え方です。
太陽黄経との関わり
雨水は太陽黄経三百三十度で決まります。
立春(太陽黄経三百十五度)から十五度進んだところに位置し、節気としては春の第二番目に当たります。
一年を二十四等分したそれぞれのポイントは、地球が太陽の周りを公転する際の角度に基づいているため、実際の体感気温や天候とずれる場合があります。
それでも、太陽の高さが少しずつ増すことで日差しがわずかに強まり、地面や大気が冷え切る時間が短くなるのも事実です。
この繊細な変化を暦に落とし込むことで、古来の人々は農作や生活の目安としました。
雨水は立春ほどの「新年感」はないものの、次に控える啓蟄や春分へ向けて、着実に春が進行していることを示しているといえます。
この節気に起こる気候の変化
雨水が示すように、降ってくるものが雪から雨へと移行しやすい時期です。
地域によってはまだ雪景色が広がる場所もありますが、日中の温度がプラスに転じる時間が増えれば、雪解けのスピードが変わり始めるでしょう。
前の節気である立春は暦上の新年扱いとなり、前日の節分で邪気を払う流れがあります。
雨水が訪れるころには、その立春から半月ほど経過しているため、「暦上の春がじわじわと現実になりはじめている」という感覚を得やすいかもしれません。
古くからこの時期は雪解けとともに農作業の準備に取りかかる目安でもありました。
田畑の土が凍結から解放され、やがて種まきや植え付けをする時期を見極める参考にもなったのです。
七十二候との関係
雨水に含まれる七十二候は、二十四節気をさらに約五日ずつ区切った三つの候で構成されます。
各候が自然界の動きや動植物の様子を示すもので、少しずつ春への足音を感じ取れる表現が並びます。
以下は雨水の三つの七十二候を簡単にご紹介します。
1.土脉潤起(つちのしょう うるおいおこる)
土の中に水分がしみ込み、潤い始める頃。
雪が解けて土が柔らかくなり、種をまく下準備が進むイメージです。
2.霞始靆(かすみ はじめて たなびく)
空気が少しずつゆるみ、春霞(はるがすみ)がたなびき始める時期。
遠くの景色がほんのり白っぽく、春の風情を感じさせます。
3.草木萠動(そうもく めばえ うごく)
草木が芽吹き、活動を始める様子を指します。
厳冬から解放された地面で、新しい生命の力が動き出すイメージが広がります。
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関連する行事や食べ物暮らしの知恵など
雨水の時期になると、地域によっては雛人形を飾ると良縁に恵まれるという言い伝えが広がっているようです。
もともと雛人形は三月三日の桃の節句に向けて用意されるもので、立春を過ぎたあたりから飾り始める家庭も多いでしょう。
雨水を境に、空気が少しずつ湿度を帯び、乾燥した冬から潤いのある大気へと移っていくことを意識すると、肌や喉のケアにも役立ちます。
春野菜の走りが店頭に並び始めるのもこのころで、菜の花や新キャベツを見かけると、いよいよ春が近いと感じられるかもしれません。
食卓では、鍋料理や煮物などにほんの少し春の食材を加えて、季節の変化を楽しむのはいかがでしょうか。
また、寒暖差が激しくなる時期でもあるため、体調管理には注意したいところです。
上手に衣替えの準備を進めながら、次の啓蟄や春分へ向けて心も体も整えていきましょう。
前の節気はこちら:
立春
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啓蟄
春の総論はこちら:
春の二十四節気総論
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まとめ
雨水は、二十四節気の中で立春の次にあたり、雪解けから春本番へ向けての序章といえます。
太陽黄経三百三十度という天文上の定義で決まるため、毎年二月十九日前後に訪れる節気ですが、実際の気候はまだまだ寒い時期。
それでも少しずつ気温が上がり始め、水辺の氷が解け、七十二候の土脉潤起や霞始靆、草木萠動など、春に近づく変化が見られます。
農作物の準備や雛人形の飾り付けなどを意識しながら、日々の暮らしにちょっとした春の彩りを取り入れてみてください。
前日には立春があり、次の節気は啓蟄。
春分や清明、穀雨へと続く流れの中で、少しずつ季節が移り変わっていく様子を感じ取れるはずです。
雨水はその名の通り、雪から雨へと変わるシフトの節気。
一年の中でほんの数日でも、こうした変化に目を向けると、自然や季節が一層身近に感じられるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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