啓蟄(けいちつ)を季語とした俳句・手紙の文例
2019/01/20
厳しい寒さの冬もそろそろ終わり、徐々に暖かくなる日が多くなってきましたね。
さて、突然ですがみなさん、啓蟄はなんと読むでしょう?
多くの方がご存知だとは思いますが、これは二十四節気の1つで、けいちつといいます。
本日はこの啓蟄(けいちつ)という言葉を季語とする俳句や手紙の文例について、お話したいと思います。
そもそも二十四節気とは?
ちなみに二十四節気とは、もともとは中国からきた、太陰暦にちなむ季節の呼称の1つです。
地球は太陽の周りを1年かけて360度回って(公転して)おり、この期間によって4つの季節に分けているわけですが、これを15度ずつの期間に、季節をさらに24等分に細分化したものです。
みなさんのよく知るところでは、、、
・夏至(げし)・・・1年のうちで最も昼の時間が長くなる日
・冬至(とうじ)・・1年のうちで最も昼の時間が短くなる日
・春分の日・・・・・1年のうちで昼の長さと夜の長さが同じになる日
・秋分の日・・・・・1年のうちで昼の長さと夜の長さが同じになる日(同上)
といった日がありますね!?
あれらも二十四節気の呼称の1つなんですね。
啓蟄とはそもそもどういう意味?
啓蟄(けいちつ)とは、大体毎年、新暦3月の5日ごろに当たる日で、その意味は、寒い冬を土の中で越した虫たちが、春になって穴から出てくる様を言います。
そのことから、立春を表す言葉として、俳句の季語に多用されているのですね。
2019年の啓蟄は何日から何日まで?
実はこの啓蟄などの二十四節気は、太陽と地球との位置関係により、毎年変わるのです。
ちなみに2019年度の啓蟄のはじまりは、3月6日の午前6:10です。
啓蟄の次の二十四節気の日が春分の日(2019年度は3月21日の木曜日)ですので、3月6日の午前6:10から3月21日までの15日間が、2019年度の啓蟄の期間となります。
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啓蟄の日は何をする?
さて、啓蟄の日ですが、特にこの日にしなくてはいけないことはありません(笑)
しかし、2019年度の啓蟄の日は上記の通り3月6日ですので、ちょうど季節としては、ひな祭りを片付ける頃では無いでしょうか?
雛人形を片付けるのが遅くなると、娘さんのいる家庭では「娘の婚期が遅れる」と言う風習が、日本には根強く残っていますよね。
日本に住んでいる方ならば、どんな形でもノスタルジーを感じる、雛人形の片付けと啓蟄を重ねた俳句、季節の彩りがあって素敵かもしれませんね。
啓蟄を春の季語とした俳句
そしてこの啓蟄ですが、冬を越えて春を迎える言葉から、俳句でもよく季語として使用されています。
海外で言うところの、
冬来たりなば 春遠からじ(シラー)
のような趣のある言葉で、日本独特の春を迎える言い回しの言葉ですね。
俳句に啓蟄と言う季語を入れることによって、春を迎える新たなる気持ちを表現することができますね。
ちなみに、啓蟄を季語とした俳句の例文は、こちらのサイトが詳しいです。
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啓蟄を季語に入れた有名な俳句
ではここで、啓蟄を季語とした有名な俳句をいくつかご紹介したいと思います。
啓蟄の蟻が早引く 地虫かな
高浜虚子
明治を代表する詩人の高浜虚子も、啓蟄にちなんだ多くの句を詠んでいます。
その代表とも言うのが、こちらの句です。
長い冬眠から覚めた虫たちが、早足でエサを求めて歩き回る姿に、春の息吹を感じさせる句ですね。
また、高浜虚子は次のような句も詠んでいます。
別荘に 来て啓蟄の 虫を友
高浜虚子
冬越えを待ち望んでいたのは、久しぶりに訪れた別荘で啓蟄の虫を見て、自分だけはなかったのだと気付いて親近感を覚えた、、という意味なのでしょう。
花鳥風月を歌うを良しとした虚子の、微笑ましい一面が伺える句ですね。
啓蟄の 風さむけれど 石は照り
加藤楸邨
加藤楸邨(しゅうそん)は、昭和の代表的な俳人として、多くの門下生を育成したと言われています。
冬の寒さと、春の到来のコントラストを、見事に表現できているのは、季語の「啓蟄」の言葉がポイントとなってますね。
啓蟄や われらは何を かく急ぐ
中村汀女
昭和を代表する女性俳人の中村汀女も、啓蟄にちなんだ句を詠んでいますね。
虫の世界も昭和の時代も現代も、春になれば慌ただしくなるもの。
この句は現代にも通じる示唆があるのではないでしょうか?
啓蟄を季語とした手紙の挨拶の文例
この啓蟄という言葉ですが、実は俳句だけでなく、3月の手紙の季語として、手紙の挨拶でも使用されている言葉でもあります。
例文としては、、、
・すっかり暖かくなり、虫たちも土中から姿を現す啓蟄の季節となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
・蟄虫戸啓の候、冬眠していた虫たちが、外の戸を開く季節となりましたが、貴君に於かれましては、変わらずお過ごしでしたでしょうか?
など、春の到来を告げる挨拶文として、よく使われているようですね。
まとめ
いかがでしたか?
啓蟄(けいちつ)という二十四節気の言葉をきちんと理解すると、それは「春の到来」を告げる意味の言葉として、季節の移ろいを感じさせる表現ができるのですね。
今後も使うことがあるかもしれませんので、覚えておいて損はないですね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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