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寒仕込みの秘密:冬の発酵食が美味しくなるワケ

2025/01/24

 

寒仕込み味噌」はなぜおいしいのか? - ウェザーニュース

冬の寒い時期になると、「寒仕込み」という言葉を耳にすることがあります。

味噌や醤油、日本酒、さらには漬物など、「冬に仕込むと美味しくなる」と昔から言い伝えられてきた発酵食品がたくさんありますよね。

たとえば、蔵の中で醤油や味噌を仕込み、日本酒を造り、あるいは漬物を漬け込む。

こうした冬ならではの作業に魅力を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

私自身、この「寒仕込み」という響きが好きでして。

以前、友人に誘われて酒蔵見学へ行った際、「この寒い時期だからこそ発酵が進むんですよ」と蔵の方が教えてくれたのがとても印象的でした。

「いや、むしろ寒いほうが発酵には不利なんじゃないの?」と思ったのですが、実際には“ゆっくり、じっくりと”熟成が進むことが旨味につながっているそうです。

この記事では、なぜ冬の寒さが発酵食品を美味しくしてくれるのか、その秘密を一緒に探っていきたいと思います。

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1.寒仕込みとは?

 

まずは「寒仕込み」の定義から整理しましょう。

言葉どおり「寒い時期に仕込みを行う」ことを指し、日本では一般的に小寒(1月5日ごろ)~立春(2月4日ごろ)までの期間を“寒の内”と呼ぶことから、その間に行われる発酵食品の仕込みを「寒仕込み」と呼ぶケースが多いです。

たとえば、お酒の場合は日本酒の仕込みが有名ですね。

寒い時期に仕込む酒を「寒造り」とも言い、蔵人たちが蔵に泊まり込みながら酵母を管理し、じっくりと醸造を進めます。

一方で、味噌や醤油づくりでも同じように寒中に仕込むと良いとされてきました。

では、いったいなぜ寒いほうが良いのでしょうか。

 


2.なぜ寒いほど発酵食品が美味しくなるのか

 

私たちのイメージだと、発酵=微生物が活躍する=暖かいほうが早く進む。

ところが寒仕込みは「低温でゆっくり発酵させる」ことで、旨味や風味をじっくり引き出す狙いがあります。

いくつかの理由を挙げてみましょう。

 

1)雑菌の繁殖が抑えられる
温度が低いと、悪さをする雑菌の増殖が抑えられるため、発酵に必要な良い菌(たとえば麹菌や乳酸菌など)がゆっくり働けます。夏場のように気温が高いと、好ましくない菌まで活発に動いてしまい、味わいが変になってしまうことも。寒仕込みではそれを避けられるのです。

2)熟成期間が長くなる
気温が低いほど微生物の活動は穏やかになり、発酵や熟成のスピードは遅くなります。ところが、この「ゆっくり進む」というのが実はとても大事。じっくり時間をかけることで、酵素がゆるやかに働き、タンパク質やでんぷん質を分解する過程で多彩な風味やコクが生まれやすくなると言われています。

3)酸味やエグ味が出にくい
急激に発酵が進むと、乳酸などの酸味が強く出たり、雑味が増えたりします。低温発酵ならそんなトラブルも回避しやすく、まろやかな風味を獲得しやすいのです。日本酒でいう「寒造り」は、冷たい環境で微生物の繁殖バランスがよく維持され、キレイな酒質を生み出すポイントでもあります。

4)昔からの知恵として定着
技術的な温度管理が難しかった昔、一番腐敗や雑菌リスクが少ない時期に仕込みをするというのは合理的な発想でした。現代のように冷蔵庫や安定した加温システムがない時代だからこそ、真冬の冷気を天然の冷蔵庫がわりに活用したのでしょう。

 


3.寒仕込みで作られる代表的な発酵食品

 

ここで、寒仕込みが活かされている代表的な発酵食品をいくつかピックアップしてみます。どれも私たちの食卓を豊かにしてくれる、頼もしい存在ばかりです。

 

  • 日本酒: 「寒造り」と呼ばれ、杜氏や蔵人が厳寒期に酒母(しゅぼ)を仕込み、低温でじっくり発酵させることで透明感のあるキレイな味わいが生まれるとされます。私は辛口タイプをよく飲みますが、寒仕込みの純米酒にはまろやかさがあって格別だなと感じます。
  • 味噌: 寒仕込み味噌として売られているものも多く、冬の寒い時期に大豆や麹を仕込むと、酵母や乳酸菌が雑菌の少ない環境でゆっくりと働くので、コクのある味噌に仕上がります。味噌汁好きにはたまりません。
  • 醤油: 醤油造りも昔は冬の寒さを利用して仕込むことが多かったそうです。発酵・熟成期間が長いほど味わい深い醤油ができあがるので、低温でゆるやかに育つのが理想的なのだとか。
  • 漬物: たとえば、いわゆる「寒漬け沢庵」や「雪下にんじんの漬物」など、冬の寒さを活かした漬物は風味が増し、シャキッとした食感や甘みが魅力です。私も冬になるとよく漬物を仕込み、ちょっとずつ味の変化を楽しんだりしています。

4.寒仕込みのメリットと現代的意義

 

では、寒仕込みにはどんなメリットがあるのか、もう少し掘り下げてみましょう。

 

(1)安全性が高い
低温で雑菌の繁殖が抑えられるため、腐敗リスクが少なく、初心者でも比較的失敗しにくいという点があります。これは自家製発酵食品にも言えることで、冬に仕込みを始めると苦労が少ない印象です。

(2)風味や香りが豊か
時間をかけて微生物が働くため、アミノ酸や有機酸などの風味成分がゆっくり生成され、まろやかな味わいが特徴的です。急激に発酵すると、どうしても酸味が尖ったり、雑味が増えたりすることがあります。

(3)季節の行事として楽しい
寒い時期にあえて屋外や冷たい蔵で作業をするのは、辛そうに感じられるかもしれませんが、昔からの風習としてそのプロセス自体が冬の風物詩とされる地域も多いです。杜氏さんたちの仕事風景は、見ているだけでワクワクします。

(4)都市部でも挑戦しやすい
現代は暖房や空調があるので、家の中があまり寒くならないかもしれませんが、逆に言えば冷蔵庫や温度調整機能が充実しており、一定の低温を保つのが簡単。自宅で寒仕込みを擬似的に行うことで、美味しい発酵食品づくりを楽しめるのも現代ならではのメリットです。


5.寒仕込みと日本の文化

 

寒仕込みは単に食品の製造工程にとどまらず、日本の冬の暮らしや行事とも深く結びついてきました。

たとえば、年明けから始まる各地の寒稽古や寒参りなどとも関連し、「寒の内に行う」ものとして特別な意味を持たせている地域が多いです。

お寺や神社では、この時期に合わせて寒修行を行うことがある一方、蔵元では酒造りがピークに差し掛かるなど、冬の厳しさを利用した独自の文化が形成されてきました。

こうした“寒さとの共生”が日本人のアイデンティティを支える一端になっていると考えると、寒仕込みの背景にある精神性が見えてくるようで面白いですよね。

 


6.寒仕込みを楽しむコツ

 

もし皆さんが「寒仕込み、ちょっとやってみたいかも?」と思ったら、以下のコツを押さえてみてください。

1)室温を低めに保つ
暖房を効かせすぎると、せっかくの低温発酵が早く進み過ぎてしまいます。仕込みの場を決め、室温をある程度低く保ちつつ、自分が快適に作業できる服装を準備。

2)雑菌を入れないように清潔を心がける
器具や容器はしっかり洗浄・消毒。雑菌が混入しにくいのも寒仕込みのメリットですが、丁寧に取り組めば失敗リスクをぐっと減らせます。

3)焦らず長期戦の構え
発酵はゆっくり進むもの。寒いからこそのんびり醸される旨味を楽しむ気持ちで、途中の味見をしながら気長に待つといいでしょう。

4)地元の食文化を参考に
地域によって味噌や漬物の配合、仕込み方が異なるので、身近な古老やレシピ本を参考にすると失敗が少ない。寒仕込みイベントや酒蔵見学もおすすめです。

 


7.まとめ

 

「寒仕込みの秘密:冬の発酵食が美味しくなるワケ」をテーマにしてみると、厳しい寒さがむしろ雑菌を抑え、発酵をゆったりと進めることで深い旨味を引き出すという構図が浮かび上がります。

日本酒、味噌、醤油、漬物など、どれをとっても寒仕込みには長年の知恵が詰まっており、現代の技術では代替し難い“季節の味”を生んでいると言えるでしょう。

私自身、冬の冷え込みは苦手なのですが、こうした伝統やメリットを知ると「寒い季節も悪くないな」と思うことがあります。

冬ならではの仕込みを経て、生まれる濃厚な味わいや優しい酸味、まろやかなコク。

寒いからこそ手に入る、その特別な味わいが私たちを幸せにしてくれるのかもしれません。

もし機会があれば、寒仕込みの味噌や醤油、日本酒を味わいながら、その背景にある先人たちの知恵と苦労を想像してみてください。

冬の寒さが生んだ美食の世界を、きっとより深く楽しめるはずです。

人類はいつの時代も、自然の厳しさを逆手にとって利用する発想を持ち合わせてきました。

寒仕込みもその一つ。

例えば北海道や東北など豪雪地域の方にお話をうかがうと、雪を保冷庫がわりにする「雪室」などの文化もあるようで、本当に「冬ならではの知恵ってすごいな」と感心します。

“寒いからこそ美味しくなる”という逆転の発想を実現しているのが、まさに寒仕込み。

これからも一杯の日本酒や一皿の味噌汁をいただくときに、その背景には自然と向き合ってきた先人の努力と工夫があるんだ、と心に留めておくと、さらに味わい深く感じられるのではないでしょうか。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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